担当役員メッセージ

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ウェルビーイングの提供を通じて持続可能性を追求し、大塚グループの存在価値を高めていきます

大塚グループのサステナビリティの考え方

「世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する」。これが大塚グループの企業理念です。我々はこの企業理念を基盤とした事業を通じ、社会課題の解決に取り組むことが、自らの持続的な成長と健康でサステナブルな社会の実現につながると考えています。
近年、社会情勢や事業環境は目まぐるしく変化しています。当社グループは32カ国・地域で事業をグローバルに展開し、196社で構成されているため、国際情勢にも広く目を配りつつ、変化や影響に対応することは喫緊の課題です。このような変化や事業の多様化を踏まえ、当社グループでは、マテリアリティ(企業が優先して取り組むべき重要項目)の見直しを行い、第4次中期経営計画とともに公表しました。企業の成長とさらなるサステナビリティ推進に向けて、より事業戦略と融合したマテリアリティを策定できたものと認識しています。

新しいマテリアリティでさらなる価値の創出を実現

トータルヘルスケア企業として世界の人々へウェルビーイングを提供する

大塚グループはトータルヘルスケア企業として、単に製品を提供するだけではなく、人々の生活の質(QOL)の向上を含むウェルビーイングの提供が、極めて重要であると考えています。医療関連事業においては、診療支援に加えて、疾患啓発やアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の払拭、そして患者さんの社会・就労復帰支援など、シームレスな医療ソリューションを提供しています。例えば、中枢領域では、精神疾患を有する患者さんに対し、診療・治療支援、介護負担軽減など、患者さんや周りの方々を支える活動にあたっています。また、NC関連事業、食品等の消費者関連事業では、「飲む点滴液」という発想から開発した「ポカリスエット」に代表されるように、医療現場からヒントを得た関連製品の創造により、消費者がまだ気づいていないニーズを見つけ出し、それまで世の中になかった新しいカテゴリーを創出することで、人々の健康に貢献しています。「ポカリスエット」を通じた水分・電解質補給の重要性を伝える活動は、熱中症対策の取り組みにもつながっています。いずれも、企業文化である「流汗悟道」「実証」による挑戦を続けることで「創造性」を発揮してきた歴史だと言えるでしょう。当社グループは、これからも「大塚だからできること」「大塚にしかできないこと」を成し遂げることで、世界の人々へウェルビーイングを提供していきます。

企業理念を実現する人財の育成

大塚グループが持続的に成長し、サステナブルな社会の実現を目指すためには、何より「人財」が重要です。当社グループでは現在、事業領域の拡大に伴い、人財の育成が急務です。また、当社グループの企業理念を理解し、創造性を活かしてそれを具現化することができる能力を備えた人財の育成が重要と捉えています。そのような人財が最大限に活躍できる基盤を築くために、日本を含む世界各国の事業会社において、多様なバックグラウンドを持つ多彩な従業員が集結し、多角的な視点が交錯するような職場環境の整備に尽力していきます。
さらに、次世代リーダー候補には、人種・性別などのバックグラウンドに関係なく、広い視野とチームビルディング力、そして革新的思考能力を持つ人財を登用する方針としており、そうした人財を育成するには、少なくとも2つ以上の異なる部門やエリアを経験してもらうことが望ましいと考えています。例えば、生産と本社部門、営業とマーケティング、日本とアメリカなどの異なる部門やエリアで経験することで、さまざまな視点から物事を捉える力が培われます。加えて、当社グループでは省庁への出向、海外の大学からのIT人財の採用およびインターンシップの実施のほか、当社グループ内の従業員が国内外の事業会社を横断的に経験する機会を創出しています。なお、専門的な知識が必要な部門においては、従業員一人ひとりの適性や特性に応じて、長期的な目線で確実に専門人財を育成していきます。

ビジネスパートナーと協働したサステナブルな社会の実現

大塚グループは、ビジネスパートナーの皆さまとともに行う事業活動を通じて、社会的課題の解決に資することを目指しています。また、その進め方は事業活動の結果と同様に重要であるという考えのもと、ビジネスパートナーの皆さまとともに高い倫理観に基づいた事業活動を行う意思を表すため、2024年、「大塚グループ ビジネスパートナー行動規準」を制定しました。サプライチェーンに関わるすべてのビジネスパートナーの皆さまとともに、本規準に則した事業活動を推進し、これらの活動がサプライチェーン全体に浸透するように取り組んでいきます。
また、近年は、外部環境の変化に対しても柔軟に適応しうる安定調達の体制構築と併せて、調達活動を通じた社会課題の解決を目指す責任ある調達を行う「サステナブル調達」に注力してきました。2024年は「大塚グループ 調達方針」および「大塚グループ サステナブル調達ガイドライン」の改定や、調達担当の人財育成を目的に研修の充実化を図っています。今後も、サプライヤーの方々との関係を強化し、サステナブル調達のさらなる推進に向け取り組んでいきたいと考えています。

地球環境への負荷低減に向けて ー 2050年環境ビジョン「ネットゼロ」 ー

大塚グループでは、2050年環境ビジョン「ネットゼロ」において、事業活動におけるすべての環境負荷をゼロにすることを掲げています。このたびのマテリアリティ再特定にあたり、これまでの「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」「ウォーターニュートラル」に加え、生態系の維持・保全の重要性を考慮して、新たに「バイオダイバーシティ」をマテリアリティに追加しました。2028年および2030年の中期目標についても目標の見直しを行い、さらなる高みに向けて、グループ一丸となって取り組みを進めていきます。
特に「カーボンニュートラル」では、再生可能エネルギーの利用拡大ならびに当社グループにおけるエネルギーベストミックスの追求を目指し、大塚グループエネルギー管理棟を開設しました。国内グループの統合エネルギー管理をさらに強化する体制を整え国内から推進していくとともに、次世代技術の検証を開始しています。
「サーキュラーエコノミー」では、2030年までにPETボトルのリサイクル原料および植物由来原料の使用割合をグローバルで100%とする目標を掲げています。この達成に向けて、リサイクルPETボトルの導入とともに、行政機関や地方自治体、ビジネスパートナーと協働して、使用済みPETボトルの国内資源循環スキームの構築を進めています。また、インドネシアの子会社であるPTアメルタインダ大塚では、地球環境への貢献を目指したサステナビリティプログラム「OTSUKA BLUE PLANET」を立ち上げました。これは、国や地方自治体とも連携した資源循環の取り組みや啓発活動を通じ、インドネシアにおける環境分野へ貢献するため、環境配慮についての意識・習慣を形成し、独立してゴミ処理・廃棄物管理を行うことができるコミュニティー作りの支援などの取り組みです。
新たにマテリアリティとして特定した「バイオダイバーシティ」では、生物多様性の保全および持続可能な利用は、大塚グループの持続的な成長に必要不可欠であると認識し、事業活動が生物多様性に与える影響と事業活動の生物多様性への依存度について評価を進めています。また、森林破壊リスクが高い原材料の調達については、目標を設定し、持続可能な責任ある調達を推進していきます。

サステナビリティミッション実現のために

このたび再特定した4つのマテリアリティは、大塚グループの重要項目として掲げるものですが、グループのサステナビリティの考え方を示しているのは、これに限定されるものではありません。当社グループは、創業から続く「品質第一」の精神を基本に、強固なガバナンス体制のもと、研究・開発から調達、生産、物流、販売、顧客対応に至るまでのバリューチェーンの全段階において、人権や環境等に配慮したサステナブルな社会の実現を目指してきました。多種多様な事業を展開している当社グループが、サステナビリティミッション実現のために取り組んでいくべきこととは、ホールディングスによる全体戦略の統括・推進と、事業会社による実行の両輪で企業価値を最大化することです。また、経営全体の方向性が誤った向きに進行してしまう可能性に対して、迅速に軌道修正を行えるレジリエンスを強化することは、我々のグループガバナンスにおける重要な要素であり、一つの課題として認識しています。そのために、欧州での企業サステナビリティ報告指令(CSRD)や本邦SSBJのサステナビリティ開示基準をはじめとする法令や基準への対応など、企業を取り巻くサステナビリティ関連情報開示義務化の流れに準じ、ガバナンスを確実に強化していきます。
なお、当社グループの第4次中期経営計画では、サステナビリティ経営により注力すべく、本中期経営計画から取締役の株式報酬の評価指標の中に、非財務指標としてESGに関する外部評価指標の達成を組み入れました。また、株式報酬制度では取締役との契約において、クローバック条項を導入しています。
大塚グループは、各施策をより高度化しながら、長期的な目線で社会課題の解決に取り組み、自らの持続的な成長と健康でサステナブルな社会の実現に向け、グループ全体で邁進してまいります。

  • 企業不祥事等が発覚した場合に支払い済みの報酬を返還させる仕組み
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