事業会社間の連携を強化し、生活者のウェルビーイングのパートナーに
大塚ホールディングスは、グローバル化の進展に伴い、海外売上が全体の約7割を占め、株式時価総額も4兆円を超え、その規模はさらに拡大しています。その拡大の一方 で、当社グループを取り巻く経営環境は常に変化しており、より強靭な経営体制の構築が求められています。2024年1月にCOO(Chief Operating Officer)の役職が新設され、新規事業拡大と次世代の成長を生み出す投資を促進し、第4次中期経営計画の目標達成を目指す中、私が果たすべき役割は主に以下の3点であると認識しています。
第一の役割は、事業会社間の連携強化です。大塚グループは医療関連事業、ニュートラシューティカルズ関連事業、消費者関連事業など、専門性の高い事業会社が各分野で多岐にわたる製品やサービスを提供しており、それらの活動を有機的に結び付けることが今後の重要なポイントになります。生活者のウェルビーイングを全面的にサポートするためには、事業会社間において一層の連携強化が必要です。そのために、当社グループ間の情報共有や協力を促進し、横断的な取り組みを円滑に遂行するなど、当社グループのシナジーを活かして、生活者の皆さまに一貫したソリューションを提供していきます。
第二の役割は、意思決定と実行のスピードアップです。樋口CEOと緊密に連携し、多岐にわたる事業領域に対して迅速で効果的な意思決定を行う必要性を感じています。それにより、市場や顧客ニーズの変化に機動的に対応し、新しい事業機会を創出していきます。
第三の役割はグループとしての持続的な成長の実現です。各事業会社が持つ強みを活かしながら事業を通じた社会課題の解決に取り組み、大塚グループ全体の持続的な成長のために、効果的に責任を果たしていきます。
第4次中期経営計画の方向性
第3次中期経営計画期間中は、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックや急激な為替の変動、世界各地の紛争といった地政学的なリスクが顕在化した一方 で、AIをはじめとした技術革新が進展するなど、外部環境が大きく変化しました。これらの変化に対応し、グローバル展開を推進するには、ホールディングス会社が中央集権的な経営を行うのではなく、各地域の特性を踏まえ、それぞれの事業会社が自律的経営を進める必要があります。また、在宅勤務の定着など働き方の多様化や日常業務へのAI活用など、技術的な進歩も見られましたが、ビジネスを進めるにあたっては、やはり人と人との関係が基盤として存在すると考えています。多様な事業会社を持つ大塚グループだからこそ、対話を通して連携を推進します。
第3次中期経営計画の振り返りから、本質を捉えた経営が重要であると再認識し、第4次中期経営計画では大塚グループの強みを活かして、さらなる成長と価値創出を目指します。
第一の施策は、長期的な成長と短期的な収益拡大の両立です。大塚グループには、医薬品事業のように長期的な視野での研究開発が必要な事業から、食品・飲料事業のような日々の競争が激しい事業まで、リスクの大きさ・サイクルが異なる多様な事業が存在しています。第5次中期経営計画以降の持続的な成長を見据え、積極的な研究開発投資を実行し、自社臨床開発や戦略的提携による新製品の創出や、新規事業領域への挑戦にも取り組みます。これに加えて、効率化の追求とブランド価値の向上を通じて既存事業の価値を最大化し、グループ全体の成長を支えます。この長期的な視点による成長と短期的な収益拡大の両立が私の役割だと考えています。
第二の施策は、ウェルビーイングにつながる新たな価値創造です。創薬力・製品開発力を強化し、イノベーション創出の仕組み作りを推進することで、先進的な医薬品やヘルスケアソリューションを提供していきます。
第三の施策は、長期的視野に立った「資本コストを意識した経営の実践」です。持続可能な成長を支える企業文化醸成と財務基盤の安定により、大塚のイノベーションを支えることで、大塚グループの経済発展と株主の皆さまへの安定継続的なリターンを実現します。
大塚グループの成長を支える人財 ~挑戦の精神~
大塚ホールディングスの傘下には多数の事業会社があり、多くの関係会社で構成されています。そのため、各事業会社では自律的なガバナンスのもと、着実に事業運営していくことが重要です。私自身はグループ全体のガバナンスと各事業会社の運営の間のバランスを重視しています。これにより最適な経営戦略の実行を追求します。
また、過去から現在に至るまで、大塚グループの成長の源は「人」です。将来の事業を担う優れた人財の育成を課題とし、従業員の能力開発と専門知識の向上による人的資本の強化に注力していきます。新規事業の立ち上げや市場の拡大には人財の育成が最も重要で、人的資本の強化は各事業会社だけでなく、事業会社間の連携にも必須です。樋口CEOが従業員の研修に力を入れているのも、この人的資本の強化を目的としています。
大塚グループでは、若手社員を各事業会社の経営者として育てる文化があり、これがグループ全体の成長を支えてきました。挑戦し続け、経験を積み重ねることが成功への道筋を切り開くと確信しています。この挑戦の精神が、大塚グループの成長とガバナンス強化の原動力となっています。
「なくてはならない企業」として世界に貢献
大塚グループは、人々のヘルスケアのあらゆる段階をカバーする製品を提供し、さらには人間をとりまく社会全体へと目線を拡げ、ヘルスケアに関する社会課題を解決する、広い意味での「トータルヘルスケア」を目指しています。私は大塚製薬の社長として、医療関連事業とNC関連事業の両方に携わり、ほかの事業会社と連携して事業を推進してきました。この経験は、大塚ホールディングスのCOOとして業務を遂行する上で重要な資産となっています。医療がこれまで以上に健康維持・予防にシフトするなど、医療と生活者の接点が増えていくことが想定されているなか、大塚グループとしてその両方に対する製品を持っていることは、大きな強みだと考えています。長期的視野でイノベーションを実現し、人々のウェルビーイングの実現をサポートしていきます。
大塚グループは、規模の拡大だけではなく、持続性を重視し、長期的な成長を「成功」と捉えています。私は、これまでの経験を活かし、CEOと協働して当社グループの経営体制を強化してまいります。経営陣間のコミュニケーションを密接に保ち、CEOが最終的な意思決定者として、私自身はCOOの立場から戦略の実行者として機能し、組織全体の運営を監督します。世界に貢献する「なくてはならない企業」を目指し、組織を円滑に運営し、経営戦略を確実に実行して大塚グループの成長と発展を支えていきます。
2024年9月12日
代表取締役 COO