サステナビリティ 担当役員メッセージ

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トータルヘルスケア企業としてのサステナブル社会への貢献とは

サステナビリティに関する課題とその解決に向けた取り組み

大塚グループは現在196社から成り、世界中で事業を展開しています。グローバル展開によって生まれる多様性は新しい発想やイノベーションの源泉となる一方、異なる市場、社会環境、文化、視点、価値観などを認識し、事業の捉え方や実行の方法について時として変化に対応することも必要だと考えています。今後も大塚グループがステークホルダーの皆さまから必要とされる企業であり続けるためには、さまざまな分野でその意識づけや規律などのいわゆるグループガバナンスをいかに共有し、高めていくかが重要と考えます。また、企業理念のもと、経営全体のベクトルに対する整合性を持続的に確保することも、グループガバナンスにおける課題の一つと考え、全体戦略を統括しながら、各々のグループ会社に任せる範囲と責任を明確化するための仕組み作りを構築していきます。

長期的価値の創出のためには人的資本への投資が不可欠

現在大塚グループでは、2024年から開始する第4次中期経営計画を策定しています。経営戦略と連動した人材戦略の策定も重要な課題と認識し、中期経営計画へ組み込み、社内外に発表できるよう検討を進めています。
現在われわれが特に重視しているのは、企業文化・理念を十分に理解し、戦略を実行する経営人材の育成です。次のリーダーには、「グローバル感覚」「創造力」「社内外ネットワークを積極的に構築できる力(人間性)」「実績」の4つの要素が必要だと考えています。そのような背景もあり、大塚ホールディングスでは、グローバル経営人材育成のためのプログラムを実施しています。毎年国内外のグループ各社から60名が参画し、CEOの樋口の積極的なコミットメントのもと、創業者のリーダーシップや大塚独自の事業の捉え方を踏まえ、経営人材として求められる人材像やビジネススキルを学習・議論しています。経営トップ直々の薫陶を受けた彼らが、いずれグループ各社と連動しながら大塚を牽引する経営人材に育ってくれることを期待しています。
また、同時にグループ全体の対応力を向上させ、イノベーションなどにより市場に対して新しい価値を提供し続ける必要があります。この価値創出の源泉となる、変化に対応できる能力を持った人材の育成のためにグループ各社と連動した人材育成も行っています。例えば、大塚製薬ではグローバルキャリアを目指す社員を対象にした人材育成の研修プログラムなどを実施しています。大鵬薬品では、実施してきた女性経営人材の育成プログラムを、今後はグローバル経営人材育成に発展していく予定です。そのほか、大塚製薬工場では、階層別研修や選抜型研修なども実施しており、部門を担う人材育成のための中長期的なプログラムを計画しています。さらに大塚アメリカファーマシューティカルInc.でも、多岐にわたる役割を担うシニアリーダーに対して、能力開発を加速させるための体験型研修を実施しています。
人材育成は成果が出るまでに時間がかかるものです。一方で長期的な戦略であればあるほど、時代を経ても変わらない「価値観の土台」、つまり企業文化や理念が重要になってきます。先人たちが築いてきた考え方や蓄積された過去のケーススタディを通じて、われわれが何に拠って事業を展開するのか、その根幹となる理念を次世代に伝えていくのも人材育成の重要な要素の一つであり、大切な務めであると認識しています。

サステナビリティ推進委員会での活動

大塚グループは、サステナビリティ実現に向けた取り組みは事業そのものであるという考えのもと、「大塚グループ サステナビリティ推進委員会」を2018年に発足しました。大塚グループのサステナビリティを組織横断的に推進するため、調達、品質、人事、環境やコンプライアンスなどの各領域の代表者が各社から参画しています。大塚グループ全体のマテリアリティに則した取り組み、課題、今後の計画などを共有しながら、サステナビリティ推進活動を行っています。
また、課題を定めて領域ごとにも活動をしています。たとえば、サステナブル調達を重要な課題の一つと捉えており、国連グローバル・コンパクト(UNGC)4分野(人権、労働、環境、腐敗防止)に加え、自然災害や地政学リスクへの対応として安定供給への取り組みを強化すべく、四半期ごとに取り組みの進捗と課題共有のための会議を開催しています。

創業時から変わらない「品質」へのこだわり

「品質」に対するこだわりも、創業時から変わらず受け継がれてきた重要な精神の一つです。大塚における「品質」とは、バリューチェーンのすべての段階で追求するテーマであり、グループ全体で連携し、目指すべき終わりがない課題だと考えています。こうした考えのもと、2023年2月には従来個別に開催していた品質、生産、サプライチェーン、環境のグローバル会議をグループ横断で合同開催しました。自部門のみならず関連部門の活動を共有し、各領域を超えたディスカッションの機会を持つことで、相互に理解を深め、グループ全体の品質の向上に向けてさらに連携を強化していきます。

2050年環境ビジョン「ネットゼロ」に向けて

大塚グループは事業活動におけるすべての環境負荷をゼロにするという2050年環境ビジョン「ネットゼロ」を掲げています。そして、グループの事業特性に鑑み、特に関係の深い環境課題を特定しました。それが、「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」「ウォーターニュートラル」の三つです。これらを環境におけるマテリアリティと定め、現在2028年と2030年の中期目標を設定して、目標達成に向けてグループ各社で取り組みを進めています。
カーボンニュートラルでは、2021年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force onClimate-related Financial Disclosures: TCFD)」の提言への賛同を表明し、TCFDが開示を推奨する気候変動に関するリスクと機会に係る情報開示を進めています。また、2022年に事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟しました。さらに、国内ではグループ全体で使用エネルギーを管理するための統合エネルギーサービス体制の構築・運用を開始しています。事業所の多い四国から運用を開始し、今後はより効率的な電力の調達や再生可能エネルギーの利用率向上を目指して、運用範囲の拡大を図っていきます。また海外では、インドネシアに生産拠点を持つすべての会社におけるCO2フリー電力の導入に加え、インドでは大規模太陽光発電設備を導入しました。
サーキュラーエコノミーでは、大塚グループで使用しているPETボトルについて、2030年までにリサイクル原料および植物由来原料の使用割合をグローバルで100%とする「大塚グループ プラスチックステートメント」を制定し、2022年は海外にも取り組みを広げています。さらにインドネシアの子会社であるPTアメルタインダ大塚では、工場周辺の自治体や住民とともに、環境配慮についての意識習慣を形成し、独立してゴミ処理・廃棄物管理を行うことができるコミュニティ作り支援なども行っています。

トータルヘルスケア企業としての使命

大塚グループは、「トータルヘルスケア企業」として、人々の健康に関する社会課題に貢献することが最大の使命だと考えており、いまだ満たされない医療・健康ニーズ解決に向けた挑戦を続けています。
大塚が追求する「健康」は、大変シンプルかつ本質的な価値です。健康であるには病気にならないこと、病気になったら早く治すこと。これを医療関連事業とNC関連事業の2大コア事業を中心に追求することで、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指しています。世界三大感染症の一つである結核や、ライフステージの変化によって生じる女性の健康課題など、未解決のニーズや、いまだ顕在化していないヘルスケアに関するあらゆるニーズに対し、製品・サービス・情報を提供し続ける会社であることが、大塚グループの存在意義です。今後も、健康に関するさまざまな課題を事業機会と捉え、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献していきます。

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